2012年02月27日

みのむしの散歩

ある冬の日に庭の木にみのむしをみつけました。
厳しい寒さを蓑の中でしのいでいる様子が妙に
いじらしくてその生態について調べてみることに
しました。

雄は蛾になるけれど雌は形を変えず蓑の中で
一生を終えること。
雄は蓑の中の雌と交尾するとすぐに死んで
しまうこと。
見た目で想像していたのとは違ってずいぶん
切ない生涯に思えました。
そんな交尾のあと孵化した子供達は蓑から出て
風に乗って分散し、到着した葉や枝で自ら蓑を
作って越冬するのです。

そんなみのむしが子供たちに託したもの。
それは何だったのだろうか?
そんなことを想いながらこの詩を書きました。


   みのむしの散歩

    みのむしの雌は蓑の中で
    その一生を過ごす。
    蛾になった雄と交尾して
    たくさんの子を産んだ後
    乾涸びて蓑の中で生き絶える。

    厳しい冬が終わったあと
    うららかな春の日を浴びて
    蓑の中で静かに眠る私を
    起こすのは誰・・・。
    やがて私はさなぎとなって
    その時をじっと待っている。
baru2.jpg
    夏になり私には無い羽を持ち
    広い世界を飛び回っている
    あなたが突然やって来た。
    蓑の中の穏やかな日々が
    あなたとの交尾によって
    がらりと変わっていく。

    あなたはすぐに飛び去り
    私は外の世界を垣間見る。
    あなたが感じた世界を
    夢で描きながらまどろむ。
    自由への憧れが私の体内で
    少しずつ新たな命を育む。

    生命が爆発するかのように
    子供たちは糸を頼りに
    蓑を飛び出していく。
    肉体が乾涸びた後
    私は一陣の風となって
    自由気ままに散歩する。

    蓑の中で明日を夢見る
    子供たちのために
    子守唄を口ずさみながら。


   約束の冬(上) [単行本] / 宮本 輝 (著); 文藝春秋 (刊)    約束の冬(下) [単行本] / 宮本 輝 (著); 文藝春秋 (刊)



posted by なる at 09:00| Comment(4) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

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