どう受け止めていいのか悩んだ時期がありました。
現代は食物連鎖が見えにくい時代です。
でも安っぽい感傷でそのことを語ってはいけない。
そんな想いからこの詩を作りました。
Photograph by Mr. Sakuo
再会
移りゆく時のはざまで
過去への想いに囚われる
それは未練であり
それは執着であり
蜘蛛の巣にかかった
哀れな蝶のように

もがけばもがくほど
無間地獄に落ちてゆく
蝶を食べた蜘蛛も
いつか必ず土に帰る
桜の樹の下にはきっと
そんな蜘蛛の屍骸が
ひっそりと眠っている
生命を食べねばならぬ
苦しみや哀しみから
解放された安らかな眠り
桜はその養分を吸い取って
あんなに美しく咲くのだろう
未来永劫続く生命の連鎖
優しい春の陽射しを浴びて
ゆれる花びらの中には
蝶や蜘蛛の笑顔が見える
愛しい君よ
桜の花びらとなって
いつかまた会おう