うとうと眠くなります。
穏やかな雨の音は胎児のときにお母さんの
お腹の中で聞いた鼓動のように感じます。
春の雨
春の雨が奏でる調べは
乳飲み子を眠らせる
愛しきわが子の
寝顔を見つめながら
女は切ない吐息を
そっともらす
雨に濡れる庭の木も
今日は妙に無口だ
この穏やかな日に
女が想いを寄せるのは
若くして逝った母のこと
病室で鶴を折った
あの春の日も雨だった
女が見舞いに行くと
母の寂しさはいつも
女への慈愛に変わった
女の羊水の中でまどろむ
新しい生命の鼓動は
春の雨と共鳴している
わが子を慈しむ心と
未来の幸せを願う心
その祈りは時を超えて
ひとつにとけあって
嬰児を包みこんでいる