2012年03月30日

春の夢

輝先生の『春の夢』には蜥蜴のキンちゃんが
出てきます。

ある日台所で洗い物をしているときにふと窓を見ると
ヤモリの白っぽいお腹がピッタリはりついていました
思わずキンちゃんみたいだなと微笑ましい気持ちに
なりました。
蜥蜴とヤモリの違いはいまだによく判ってなくて
正確なコメントができなくてすみません。
もし詳しくご存じな方がおられたら教えてください♪

さて、不思議なことに毎年春の終わりになると、
そのヤモリは夜の台所の窓にやってきます。
他の季節はどうして暮してるんだろう?
昼間はどうしているんだろう?
などと考えているとき浮かんだのがこの詩です。

   ヤモリの子守唄

   一家団欒が終わって
   家族がそれぞれの部屋に
   ひきあげたころ
   ヤモリはそっと動き始める
   蛍光灯がチカチカする
   薄暗い台所の窓に
   その白っぽいお腹を
   ぴったりくっつけて
   獲物が来るのを待っている

   人に狎れることもなくbaru4.jpg
   人に媚びることもなく
   人の暮らしをみつめている
   家族の悲喜こもごもを
   ヤモリが一番よく知っている
   日中は深い眠りの中で
   苦労などまだ知らない
   無邪気な笑い声に包まれて
   未来の子孫の夢を見る

   時には昼メロに夢中の
   主婦の涙をみつめている
   PCに黙々と向かう主の
   孤独な背中も知っている
   ヤモリは何も言わないが
   心に秘めた矜持を持っている
   それを主張することもなく
   わずかに生きた虫だけ食べて
   ひっそりと暮らしている

   夜も更けた頃
   ヤモリは小さな声で鳴く
   人々はヤモリの子守唄で
   安らかな眠りにつくだろう


   春の夢 (文春文庫) [文庫] / 宮本 輝 (著); 文藝春秋 (刊)

 
posted by なる at 00:40
"春の夢"へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。